COLUMN
ここにタイトルコメントを入力してください

ここに文章を入力してください

| Back | Index | Next |

1  栽培・・その前に
更新日時:
2009.01.01 Thu.
洋蘭というと、皆さん熱帯植物という先入観が先に立つようです。確かに、熱帯圏に自生地が集中しています。しかしほとんどが標高の高い山の中腹辺りに自生しています。いわゆる雲霧林と言われている地帯です。雨季、乾季にかかわらず、霧によって湿度が保たれています。当然雨期になると毎日のようにスコールがやってきて滝のような雨を降らせます。また乾期になると頼るのは霧による湿度です。人間には快適と言えるかどうかわかりませんが、確かに低地よりは過ごしやすいようです。胡蝶蘭、バンダのような高温種をのぞいては、ほとんどの低中温種はこのような雲霧林に自生しています。ただ誤解のないよう注釈しておきますが、胡蝶蘭はほとんどが低地の樹陰の谷間に着生しています。ですから、直射光線には弱い性質があります。
バンダは太陽光線のよく当るところを好んで、自生しています。このように同じ高温種でも住み分けがあるのです。
ですから蘭を栽培しようとする場合には、その辺の事情を確かめて栽培したほうが失敗するにしても、納得がいくのではないでしょうか。もう一度チャレンジする気にもなると思います。
それから、何故洋蘭はこんな小さな鉢に植えてあるんですか?これじゃ根詰まりですよね?と聞かれることがあります。
わたしは、鉢が小さいと鉢内の代謝が良いと言っています。蘭の根は成長期には水も好みますが、空気も必要なんです。大きい鉢で毎日水をやったらどうでしょう。その日に乾くのは無理だと思いませんか。内部にたまった老廃物や、古い空気は入れ替わりやすいでしょうか?超過湿、古い空気、これはフザリウム等の嫌気性の腐敗菌の温床です。根腐れの原因です。小さい鉢の場合、上部のウオータースペースに溜まった水が、徐々に内部の古い空気を鉢底から押し出し、さらに、上部から新しい空気を自然に供給することが可能になります。当然鉢が小さい分、乾きやすいということになります。腐敗菌も住みにくくなります。
  もう一つ、大変重要な生育の要素があるのです。  ご承知のように、蘭は蘭菌といわれているカビの一種と共生関係にあります。自然の中で発芽するかしないかは、この蘭菌がいるかいないかに関わっています。幸運にも蘭菌のいる場所に落ちた種子だけが、発芽できるわけです。当然、それ以外にも環境が整っていることが重要ですが。  発芽以降の成長にも蘭菌の重要な役割があります。こんなことに言及している文献が見当たらないのは寂しい感がありますが・・・。自説として記述しておきます。
蘭菌の生息している蘭の部位は根の先端いわゆる根冠と言われている部分です。成長点と呼ばれています。その内部に生息し核を作っています。前述しましたが蘭菌はカビの一種です。ですから核より菌糸を外部に出し、鉢内の養分を核に蓄えます。その核を水と一緒に蘭は吸収して成長します。蘭菌は活発に細胞分裂をしますので、絶えることはありません。ご心配なく。蘭菌が活発に活動できるのは12℃前後から22℃前後といわれています。当然空気も必要です。   皆さんは水餅というのをご存知でしょうか?餅にカビが生えるのを防止するために、餅を水に浸けて保存する方法です。カビは水の中では繁殖しにくい性質をもっています。蘭菌も超過湿の中では繁殖しにくくなるのです。ある程度の湿度と、新鮮な空気が蘭菌の成育、言い変えれば蘭全体の成長が良くなるのです。蘭の根が空気が好きだと言われているのは、この辺の事情があるからだと思います。   空気の流れいわゆる通風も重要です。植え込み材料を乾かしたり、太陽光線で熱くなった葉の表面の温度を下げたり、風も重要な働きをしています。  風のない時は扇風機などで風を送ってあげたいものです。  雲霧林に生育している蘭が多くあるということは、日本の夏は蘭にとっては暑い地獄に等しいことなのです。とにかく夏越しができれば、ほとんどの蘭が栽培できることにつながるわけです。そのためには・・・
* 太陽光線は、好光線種(デンドロビウム、バンダ、カトレア等)を除くと、夏は50%〜75%遮光する。その時期以外は50%程度がよいでしょう。
* 風は、一年を通して常にあったほうが良い(夏は不可欠)
* 水は3月〜4月成長が始まったら徐々に増やす、この時期は朝のほうが良いでしょう、太陽光線が強くなったら(地域によりますが・・)夕方以降に水を頭からかけるようにします。  バークや礫植えの場合、ほとんど毎日、水苔の場合はコンポストの状態を見てくだい、乾いたら水をあげてください。但し、朝はやらないほうが良い。新芽に水がたまって気温によっては湯のようになって組織がダメになってしまいます。
* 肥料は新芽成長が安定してから施します。回数は月1〜2回程度、成長に合わせて10日に一回と回数を増やしていきます(濃度は1000倍〜1500倍程度)。8月の盛夏にはやらないことです。9月以降、秋風が吹き始めるころから施肥を開始します。成長期は窒素分の多いものを使用します。秋以降はリン酸、カリの多いものを使用します。10月からは成長に合わせて回数を減らし、成長が終わったと感じたら施肥は中止したほうが無難です。
* 消毒について、私は通常月に、二回程度行っています。 殺虫剤、殺菌剤、そして殺ダニ剤をミックスして散布しています。 冬に入る前は、よくカイガラムシが発生します。ついたものは、古い歯ブラシ等でこすり落とします。その後は直ちに消毒するようにしています。また、ダニが発生した時は、1週間ごとに2度消毒しています。ダニの卵には薬が効かないので、1週間後に卵から孵化したダニにもう1度殺ダニ剤をかけると効果的です。 
   
 

2  リカステ栽培編
更新日時:
2009.01.03 Sat.
失敗談
私は色々な洋蘭を作ってきました。最初はシンビジューム・・・20数年前のシンビジーウムは現在のようなクラスター咲きもありましたが、海外たとえばオーストラリア、アメリカではステムの長い品種で一輪一輪が大きく、さらに平開するタイプが主流を占めていました。次はファレノプシス(胡蝶蘭)、これは高温種ということで、家の中にビニールで囲いを作り練炭火鉢でボイラーを作り真冬最低温度14℃を保ち花芽が見えたらもう大変、霧吹きで加湿をし、花を咲かせて大威張り・・結果ビニールの下の床が腐ってキノコが生えてしまいました(反省)。これじゃ家族に示しがつかないということで今度はカトレア・・ワルケリアナやロディゲシーが好きになって毎月の小遣いはすべて原種の収集に消えました。ワシントン条約が施行される数年前からはフラグミペディウムも集め家の中はジャングル状態になっていました。朝、目が醒めると
なんと!目が開かないのです。 蜘蛛の糸が何本もまぶたの上に張っていました。色々失敗談は皆さんにもあると思います。  そんなこんな失敗をしながらも、購入した植物はほとんど花を見ました。
一番失敗が多かったのは、リカステ属です。
当時は、この属の明確?な栽培方法は、日本ではほとんど確立されていませんでしたし、本も出版されていませんでした。
水やりでは、真夏、朝に水をやって新芽の中が煮えてしまったり、遮光をせずに葉焼けをさせたり、ダニの発生に気づかず新芽が真っ黒になったり、団子虫、ナメクジ、等の駆除をせずに、花を食われたり・・。そうそう、生育が良いのに、もっと良くしたいと思って肥料をやりすぎて根を腐らせてしまったりもしました。
ようやく人に教えられるようになったのは10年ほど前です。
リカステは高山植物ではないということと、自生地の環境を日本で作るのは、一般の人はほとんど無理だということです。
唯一この植物のストレスを解消できるのは、ちょっと変な言い方かもしれませんが、だますことだと思います。植物に気づかれないうちに成長が終わり、花が咲いているという ・・・。私の経験上のテクニックを以下で御紹介したいと思います。ベテランの方でも、何か一つでも思い当たることがあれば参考にしてほしいと思います。 
 

3  失敗は成功のもと・・リカステ栽培編
更新日時:
2008.12.26 Fri.
一年を振り返りながらまずは、周年管理を書いてみようと思います。
1月〜2月   
寒さが骨身にしみる頃です。  リカステの大輪系の蕾がステムの伸びるにつれふくらみ、初花の場合、どんな花が咲くのかワクワクしてしまいます。私は初心者の頃、蕾が少し口を開けたころに、無理やりこじ開けようとして花弁をポキッと折ってしまいました。そんな思い出があります。アーァやっちまった。補強も接着もできませんネ。失敗、失敗・・・
今は年のせいか、じっくり待つことにしています。支柱立ても慎重にしましょう。ステムの誘引は昼の温かい時間で行ったほうが、折れにくいですよ。  それと蕾がついたからと言って、いきなり暖かい場所に移すと、花色が薄くなったりします。カラーブレイクといって本来の色が出ない状態をいいます。黄色系はそんなに変わらないのですが。赤色系は非常に顕著に現れます。最低温度は12〜13℃くらいでゆっくり咲かせたほうがよいでしょう。最低温度8℃前後で水を控えめにして咲かせても大丈夫です。現在の家は保温が大変良いので部屋の窓から離れた場所なら大丈夫。ただし、暖房器具の風が当たらないほうが乾燥を防げてよいし、カラーブレイクも多少防げるようです。
湿度も花には大変重要な要素です。温室がある場合は湿度もそんなに気にならないのですが、部屋の中ですと加湿の心配もしたほうが、花がのびのびと咲きます。加湿器、霧吹きで花の周囲の湿度を上げるのも結果は良いです。
この時期は休眠期と言って、植物が成長を止めています。ですから肥料は決してやりません。必要なのは乾きすぎない程度の水です。3日〜5日に1回、朝のうちにたっぷりやることです。たっぷりやることによって、鉢内の空気が入れ替わるからです。あとはまた乾くまで水はやりません。太陽にはレースのカーテン越しで十分当ててください。
   

4  春爛漫・・ルンルン気分で頑張ろう
更新日時:
2009.01.03 Sat.
3月〜4月
桜が咲いて、寒くもなく、暑くもなく、快適な季節がやって
きました。室内で育ててきたものも、午前中は太陽に当ててあげましょう。最初は短時間、10日目位から半日は戸外で光に当ててください。新芽が出てきたら1回目の消毒をしたほうが良いでしょう。4月の後半からは太陽光線が意外と強くなります。50%くらいの遮光ネットの下に置いてください。その頃になると、外に出しっぱなしでも、大丈夫。ただ寒冷地、遅霜の心配のある地域では5月に入ってからのほうが良いでしょう。
温室内では遅咲きのアロマチカの系統の落葉性リカステが咲き始める頃です。洋蘭の展示会もあちこちで開催されています。腕自慢の方は試しに出品されるのも良い経験になると思います。また、賞などを貰った時は、うれしくなって、励みにもなるでしょう。人が作ったものと比べてみるのも興味のあることだと思います。 恥はかき捨て・・とにかく春です。頑張って出かけてみるのも自分の再発見になるかも・・・。
さて、新芽の伸長が5pを超えてきたらそろそろ、肥料を上げましょう。2週間に一度くらいのペースで肥料をかけますが最初の1〜2回くらいは2000倍くらいのほうが良いでしょう。屋外では風通しに気をつけましょう。温室内では通気口や窓を開放して空気の入れ替えにつとめましょう。送風機の使用も良いでしょう。  洋ラン栽培の1年の始まりです。去年の失敗や、上手にいったことを教訓に…。あせらず、あせらずにですよ!  水やりは、植え込み材料によって変わってきます。一般的なミズゴケは乾いたらもう1日待ってあげたほうが失敗がないようです。(クリプトも同様です)。バークや礫植えは2〜3日に1回程度。とにかく、乾いたらちょっと待ってからかけましょう。かけるたびに、植物が気持ちよさそうな感じで伸びていくような気がします。

5  晩春・初夏の頃、陽射しに注意
更新日時:
2009.01.01 Thu.
5月〜6月
先月来の水やり、施肥、消毒、通風、遮光等の環境作りを引き続き行いましょう。気温もすでに初夏になりました。新芽も15〜20pを超え、早いものは葉が展開してきます。花はアロマチカ系の交配種、そして原種のトリカラー、ラシオグロッサ、コンソブリナが花盛りです。蘭展も夏の蘭展といったところでしょうか。色々なフォーラムも開催されます。プロの意見や指導を受ける、チャンスです。いろいろ聞くこともスキルアップ!!
楽しいことばかりではありませんよ。ゴールデンウイークの休み期間中、手入れを怠って葉焼けを起こしたり、温室を締め切って高温障害、暑い陽射しがあるのに水かけをして、新芽をくさらせたり・・・。植物の場合は再生がかなり難しい、軽微な失敗ならなんとかなるのですが・・・。
梅雨に入るこの時期は、細心の注意が必要になります。天気の変わりやすい時期です。  6月の後半に入るとそろそろ梅雨明けになります。7月の暑さ光線の強さが待っています。そろそろ遮光率を75%に上げてもいい頃です。50%の遮光ネットの下、1メートル位のところにもう1枚遮光ネットを張ると、75%しゃこうになります。まあ実際は周囲からの反射もあるのでじっしつ65%程度だと思います。水やりは、夕方にたっぷりやりましょう。鉢の周囲にも水をまくと、気化熱の効果がありさらに涼しくなります。私の栽培所は棚の下が砂地なので、昼間から水まきをしています。湿度が上がると、温度が上がりにくくなります。
厳しい盛夏が待っています。暑い季節は成育が鈍るので、この時期の手入れは重要です。私は8月の成長は望まないことにしているのです。肥料を3000倍程度に薄めて、1週間に1回くらい、夕方(日没)以降、頭からかけています。もちろん水かけが終わってからです。ですから5000倍くらいの濃度だと思っています。  そのあと、鉢から水の落ちる音を聞きながら、椅子に座って、じっとしているのが好きです。カエルの声や、風の音、楽しい時間です。ただ蚊に刺されるのが玉にキズです。人生いいことばかりじゃないですね!!!


| ホーム | 御挨拶及び当園紹介 | リカステの交配及び概要 | リカステ栽培編 | 原種一覧 |  当園登録品種紹介 1 | 当園登録品種紹介 2 | 当園登録品種紹介 3 |
| 当園登録品種紹介 4 | 当園オリジナル小輪系販売 | 当園オリジナル大輪系販売 |


メールはこちらまで。